「野菜が大きくなる」「おいしく育つ」…そんな文言で販売されている水耕栽培の肥料。どれも似たり寄ったりな印象で、なかには「何が違うの…?」と疑問を抱いている人もいることでしょう。
そこで、人気肥料3種類(ハイポニカ、微粉ハイポネックス、おうちのやさい)でそれぞれサニーレタスを水耕栽培し、生育差を比較検証しました。どんな違いが出たのか、本記事で詳しくお伝えします。
加えて、各肥料の個性に合わせて「この肥料はこんな人におすすめ!」という内容もまとめたので、肥料選びに悩んでいる人は最後までチェックしてください。

【執筆者】夏目ミノリ
山・畑持ちの元Webライター
地植え、プランター、水耕で作物を栽培中
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| 薬味(しそ、ねぎ) 野菜全般 果物(レモン、ブルーベリー、アンズなど) ハーブ(ローズマリー、バジルなど) ※その他、夫実家の家庭菜園を手伝ったり所有している山から山菜やたけのこを収穫したりしています |
「家庭菜園をやってみたい」という気持ちを応援するために、手軽さ重視で家庭菜園情報を発信します。
本検証で使う肥料はこちら

簡単に、本記事で使用する肥料3種類を紹介します。
- ハイポニカ®液体肥料
2種類の肥料をブレンドして使うタイプの液体肥料です。「液体肥料といえばコレ!」という位置に君臨し、抜群の知名度を誇ります。
- 微粉ハイポネックス
水耕栽培向け肥料としては珍しい粉末タイプの肥料です。多量要素(とくに三大要素)の数値がとても高く、肥料効果をしっかり得られると人気を集めています。
- おうちのやさい
水耕栽培専門メーカーが販売している液体肥料です。見た目がいい野菜を育てるより、おいしい野菜を育てることに重きを置いて作られています。
基本的に、どの肥料も「野菜がよく育つ」「おいしい野菜ができる」といった内容で販売されています。しかし、これでは違いが分かりませんよね。
実際のところ、生育に違いは出るのでしょうか。次章から検証していきます。
【検証】3種類の肥料でサニーレタスを水耕栽培してみた

各肥料で培養液を作り、サニーレタスを水耕栽培してみます。

発根したサニーレタスの苗を各容器に2本ずつ入れて検証スタート。
なお、本検証では植物育成ライト「FLORA」を使って室内栽培しています。ずっと同じ配置では光の当たり方に差が出てしまうので、毎日容器をシャッフルしてすべての容器が平等に光を浴びられるようにしました。
ここからどんな差が出てくるのか、観察していきます。
1週間後

培養液で水耕栽培を始めて1週間が経ちました。すべてのサニーレタスに本葉が出現。この段階では、生育差が見られませんでした。
2週間後

検証開始2週間後、少しずつ生育差が出てきました。
一番大きいのは微粉ハイポネックスのサニーレタスです。ハイポニカ®液体肥料とおうちのやさいは、ほぼ同じくらいの印象でした。
3週間後

検証開始3週間後、微粉ハイポネックスの容器に藻が発生しました。それだけ栄養が多いということでしょうか…生育も一番いいようです。
ハイポニカ®液体肥料とおうちのやさいには藻がついていないものの、着実に生長しています。どちらかというと、ハイポニカ®液体肥料の方が大きく育っていますね。
4週間後

検証を始めて4週間が経ちました。容器内に伸びた根が窮屈そうなので、ここで検証を終了します。
【結果】各肥料の個性が明らかに

検証結果を見ていきましょう。
まずは葉の大きさからチェックします。各サニーレタスの外葉を並べてみると、一番大きかったのは微粉ハイポネックスのサニーレタスでした。次にハイポニカ®液体肥料、おうちのやさいです。
葉の大きさに差は出たものの、葉の厚みやかたさといった部分には差を感じられませんでした。

続いて根の状態を確認します。
根の長さはどれも同じくらいでしたが、量は微粉ハイポネックスとハイポニカ®液体肥料が多く、おうちのやさいは少ない印象でした。
もっとも差が出たのは藻の量です。微粉ハイポネックスの根には藻がたくさんついていましたが、ハイポニカ®液体肥料は所々に藻がついている程度。おうちのやさいにおいては、根にほんのり薄緑色がつくくらいで藻はかなり少量でした。

株元のサイズも計測してみました。
一番太かったのは微粉ハイポネックスのサニーレタス。次にハイポニカ®液体肥料で、一番細かったのはおうちのやさいです。
今までの結果を表にまとめました。
| ハイポニカ®液体肥料 | 微粉ハイポネックス | おうちのやさい | |
|---|---|---|---|
| 葉の大きさ | 中 | 大 | 小 |
| 根の状態 | 量が多い 藻は少なめ | 量が多い 藻は多め | 量が少ない 藻は少なめ |
| 株元のサイズ | 6cm | 7cm | 5cm |
3種類のなかで、一番よく育ったのは「微粉ハイポネックス」でした。葉の大きさ、根の量、株元のサイズなど、どれにおいても一番で、肥料効果がとても高いといえます。
次によく育ったのが「ハイポニカ®液体肥料」です。正直なところ、生育状態は微粉ハイポネックスのサニーレタスとほとんど変わりません。どちらの肥料がいいかを見極める際は、肥料効果以外の部分をしっかり見ておく必要があります。
育ちがいまひとつだったのが「おうちのやさい」です。ほか2種類のサニーレタスと比べて、サイズも根の量も負けています。しかし、軟弱さはなく元気に育っていたのは確かなので、肥料の質が悪いわけではなさそうです。
肥料別!おすすめの人の特徴

3種類の肥料を比較したことで、それぞれの個性が見えてきました。そこで、各肥料がどんな人に合っているかを紹介します。「どの肥料が使いやすいんだろう?」と悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
ハイポニカ®液体肥料

ハイポニカ®液体肥料は、本検証において2番目によく育った液体肥料です。前半は生育がゆっくりめでしたが、後半にぐんぐん伸び、微粉ハイポネックスに引けを取らないサイズまで生長。人気肥料というだけあって、肥料効果には「さすが」の一言です。
メーカーは「肥料を1本にまとめると成分が結晶化するから」という理由で、肥料をボトル2本に分けています。肥料の質を大切にしているからこその方針ですが、なかには「2液は培養液作りが大変」といった見方もあり、使う人によって意見が分かれているのが実情です。つまり、ハイポニカ®液体肥料は肥料効果云々より、使いやすさで向き不向きが出る液体肥料だといえます。
こうしたことから、ハイポニカ®液体肥料は以下のような人におすすめです。
- 野菜を大きく育てたい人
∟大きくておいしい野菜が食べたい
∟大きく育てて水耕栽培の成功を実感したい - 人気商品を選びたい人
∟利用者から信頼されている肥料を使いたい
∟難しいことは分からないから無難に使える肥料がいい - 2液性にネガティブな印象を持たない人
∟小規模な水耕栽培だから培養液作りが苦にならない
∟2液を混ぜるくらいすぐだから大丈夫
微粉ハイポネックス

本検証で一番大きく育った微粉ハイポネックスは、肥料効果の高さが魅力です。ぐんぐん大きくなるので、野菜をボリューミーに育てたい人に向いています。
ちなみに、微粉ハイポネックスはコスパも高く、500gの価格で計算すると培養液1Lが約3円で作れますよ。ほか2種類の肥料とコストを比べると、ハイポニカ®液体肥料の約1/2、おうちのやさいの約1/5です。
ただし、1000倍希釈であることから少量の培養液を作るのが難しいので、小規模の水耕栽培では培養液を余らせてしまい、逆にコスパが悪くなる場合があります。
こうしたことから、微粉ハイポネックスは以下のような人におすすめです。
- 肥料効果の高さを重視したい人
∟立派な野菜を育てたい
∟ボリュームのある野菜を育てて食費節約につなげたい - 安く培養液を作りたい人
∟節約目的の水耕栽培だから経費をかけたくない
∟水耕栽培でたくさんの野菜を育てているから肥料費を抑えたい
おうちのやさい

本検証で一番育ちが小さかったおうちのやさい。肥料効果が悪いとネガティブに捉える人もいるかもしれませんが、実際は違います。野菜がほか2種類の肥料より大きくならなかったのは、おうちのやさいの仕様です。
おうちのやさいは、野菜の見た目より味を重視して作られています。必要以上に背が伸びた野菜、着色したかのように色が濃い葉…こうした不自然な姿ではなく、自然な形でおいしい野菜が育つように成分バランスを整えているのです。
もちろん、味重視だからまったく大きくならないわけではありません。野菜はきちんと肥料効果を得て大きくなっているので、安心して水耕栽培に使えますよ。
肥料はボトル1本の構成で、200倍希釈で培養液が作れます。希釈倍率が低めなので、少量の培養液作りに対応できるところもひとつのメリットです。
これらの特徴から、おうちのやさいは以下のような人におすすめできます。
- おいしい野菜を育てたい人
∟野菜が好き
∟子どもにおいしい野菜を食べさせたい - 培養液を少量だけ使いたい人
∟小さい容器で水耕栽培がしたい
∟他社の培養液はいつも余らせてしまう
肥料の個性を見て自分に合ったものを選ぼう!
3種類の肥料で水耕栽培をしてみた結果、以下のような生育差が出ました。
| ハイポニカ®液体肥料 | 微粉ハイポネックス | おうちのやさい | |
|---|---|---|---|
| 葉の大きさ | 中 | 大 | 小 |
| 根の状態 | 量が多い 藻は少なめ | 量が多い 藻は多め | 量が少ない 藻は少なめ |
| 株元のサイズ | 6cm | 7cm | 5cm |
大きさで見れば、微粉ハイポネックスが一番よく育っています。だからといって、一番小さかったおうちのやさいの質が悪いわけではありません。
肥料にはそれぞれ個性があります。大きく育てるもの、葉の色を濃くするもの、おいしく育てるもの、コスパが高いもの…同じような売り文句を使っていても、実は中身にさまざまな違いがあります。
だからこそ、肥料選びでは各肥料の個性を理解することが大切です。本記事では、3種類の肥料を比較することで各肥料の個性を明確にしました。もし「コレいいな」「私にぴったり」というものがあれば、ぜひ使ってみてください。
※家庭菜園は、人によってやり方が異なります。当サイトの内容は筆者の知識・経験に基づいたものであり、他の人のやり方や考え方が間違っていると指摘するものではありません。
※本検証は個人が行ったものであり、やり方や環境によっては結果が異なる可能性があります。

