たびたび、「米のとぎ汁は肥料になる」という声を耳にします。はたして水耕栽培にも使えるのか、気になっている人もいるのではないでしょうか。
そこで実際に、水耕栽培における米のとぎ汁肥料の効果を検証してみました。
結論からいうと、水耕栽培でも米のとぎ汁肥料は効果があります。しかし、肥料効果を得る代償として、カビや根傷みなどのトラブルも発生しました。
本記事では、「水」「米のとぎ汁」「米のとぎ汁肥料」の3つを同じ環境で2週間育て、どんな違いが出たかを紹介します。

【執筆者】夏目ミノリ
山・畑持ちのフリーライター
地植え、プランター、水耕で作物を栽培中
| 自給自足しているもの |
|---|
| 薬味(しそ、ねぎ) 野菜全般 果物(レモン、ブルーベリー、アンズなど) ハーブ(ローズマリー、バジル、タイムなど) ※その他、夫実家の家庭菜園を手伝ったり所有している山から山菜やたけのこを収穫したりしています |
「家庭菜園をやってみたい」という気持ちを応援するために、手軽さ重視で家庭菜園情報を発信します。
【検証】水耕栽培で米のとぎ汁を与え続けてみた

本検証は、以下の内容・実験で行いました。
【検証内容】
「水」「米のとぎ汁を入れた水」「米のとぎ汁肥料を入れた水」にそれぞれネギの根を入れ、育ち方にどのような差が出るかを観察する。
【条件】
- 同じ日に購入したネギの根を使用する
- 容器はすべて同じ形、容量のものを使用する
- 水換えは同じタイミングで行う
- 室温、湿度ともに同じ環境下で栽培する
- 検証期間を2週間とする
はたしてどのような結果になったのか、見ていきましょう。
スタート

以下3種類の水を用意し、それぞれにネギの根を入れます。
【水の種類】
- 水:水道水
- とぎ汁のみ:水道水に少量の米のとぎ汁(2回目くらいのもの)を混ぜたもの
- とぎ汁肥料:米のとぎ汁を発酵させ100倍希釈したもの
1日1回水換えし、それぞれの育ち方を観察します。

室内の水耕栽培といっても、日光が必要です。日光浴させるために移動させるときは、上の写真のように全容器をひとまとめにし、同じ場所・同じ時間だけ日光浴を実行。こうして、栽培環境に差が出ないようにすることで、「水の違いによる育ち方の差」だけを見ていきます。
1週間後

1週間が経過。どれも順調にリボベジできていて、ほとんど差は見られませんでした。
2週間後

2週間が経過し、わずかではあるもののネギに生長差が出てきました。水だけより、米のとぎ汁を使っている2種類の方が少し長く伸びています。

しかし、葉がよく伸びたものほど、根の状態は悪くなっていました。
水で育てたネギは、根がしっかり伸びて元気な様子です。一方、とぎ汁のみは根に長さがあるもののカビも多く見られました。とぎ汁肥料においては、根が短くカビも多めです。
これらの結果から、水耕栽培で米のとぎ汁が野菜に与える影響についてまとめます。
【結果・考察】水耕栽培で米のとぎ汁が与える影響

検証結果から、米のとぎ汁の肥料効果は水耕栽培でも有効といえます。
実際に、米のとぎ汁を与えたネギは、水のみで育てたものより長く伸びました。米のとぎ汁によって栄養が添加された結果であり、肥料効果が期待できるといってもいいでしょう。

しかし、米のとぎ汁は根に多少なりともダメージを与えてしまうようです。
水で育てたネギの根は、長く伸びて元気な状態でした。一方で、米のとぎ汁が入っている2種類のネギは、根付近にカビが多く発生。根も伸びず、健全とはいいがたい状態でした。
これらの結果から、各育て方を考察します。
| 育て方 | 考察 |
|---|---|
| 水 | 栄養がないぶん葉は伸びないが、カビは生えにくい |
| とぎ汁のみ | カビがよく発生していたことから、米のとぎ汁には栄養があると分かった しかし、米のとぎ汁肥料で育てたネギに比べて、根は長かったが葉は短かった このことから、米のとぎ汁そのままでは肥料効果が得られにくいと考えられる |
| とぎ汁肥料 | 一番根が短かった(状態が悪かった)にもかかわらず葉がよく伸びたことから、発酵させた米のとぎ汁には肥料効果があると考えられる カビもよく生えた |
水耕栽培で米のとぎ汁を使うときのポイント5つ

「水耕栽培でも米のとぎ汁は使える」と分かりましたが、決して万能な肥料ではありません。米のとぎ汁を使ったことにより、カビが生えやすくなったり根がダメージを受けたりといったデメリットも生じました。
では、どうすれば安心して米のとぎ汁肥料が使えるのかを解説します。
ポイント1. 発酵させてから使う

水耕栽培に米のとぎ汁を使うなら、そのままの状態ではなく発酵液にしてから使いましょう。
米のとぎ汁には、デンプン、たんぱく質、油分、ミネラル類などのさまざまな栄養が含まれています。これらは、植物が吸収できる状態にないといわれており、与えても思うような肥料効果が期待できません。
しかし、米のとぎ汁を発酵させれば、栄養が植物に吸収されやすい形に変わります。

検証でも、米のとぎ汁より発酵液の方が大きく育ちましたね
下記の記事で、米のとぎ汁肥料の作り方を紹介しています。水耕栽培で肥料効果を得たい場合は、発酵で米のとぎ汁をパワーアップさせてから使いましょう。
ポイント2. 薄めて使う


米のとぎ汁肥料の使用量は、少量であればあるほどいいといわれています。水耕栽培に使うときは、必ず約100~200倍くらいに薄めてから使いましょう。
家庭菜園の失敗でありがちなもののひとつが肥料の与えすぎです。「大きく育てたい!」という思いが強いあまり、つい肥料を入れすぎてしまうんですね。
しかし、肥料のやりすぎは野菜にダメージを与えてしまいます。水耕栽培で米のとぎ汁肥料を使う際は、「本当にこんな量で効くの…?」と思うくらい薄めて使ってください。
希釈濃度の目安は、100~200倍くらいです。きっちり計量する必要はありませんが、入れすぎないように注意してくださいね。


ちなみに、上の写真は水耕栽培の失敗例です。
水と肥料の与えすぎで、ネギをしっかりカビさせてしまいました…。そのうえ、肥料過多による生育阻害で、水が一番よく育つという結果になっています。栄養がある米のとぎ汁でも、使い方を間違えればいい効果が出ないことは明白です。
ポイント3. 小まめに水換えする
水耕栽培は水を清潔に保つ必要があるので、小まめに水換えをしましょう。
とくに米のとぎ汁は、栄養が含まれているぶんカビやすかったり虫がわきやすかったりします。野菜が大きく育っても、カビや腐敗で食べられない状態になってしまうおそれがあるので、水の管理には気をつけてください。
ポイント4. 日当たり・風通しを確保する


カビ対策として、水耕栽培中の野菜は日当たりと風通しがいい場所に置きましょう。
米のとぎ汁肥料を使うと、水に栄養が加わることからどうしてもカビが生えやすくなります。有機物(米のとぎ汁)が入った野菜を暗くてじめじめした場所で栽培すれば、あっという間にカビが繁殖するでしょう。
カビさせないためには、カビが嫌いな「日当たり・風通しがいい環境」を作ることが大切です。水耕栽培でカビを完璧に防ぐのは困難ですが、日当たりと風通しを確保するだけでもグッとカビにくくなりますよ。



室内は空気を循環させるのが難しくカビやすいので、筆者はサーキュレーターを使っています
ポイント5. 毎日は与えない
「とぎ汁肥料」という言葉を多用しているせいで混乱させてしまっているかもしれませんが、正確にいうと、米のとぎ汁は「肥料」ではなく「活力液」です。
【肥料】
窒素、リン酸、カリの3つ(多量要素)を一定量以上含んでいるもの
植物の生育に強く影響する
【活力液】
多量要素が一定量以下であり、植物の生育サポートとして使われる
水耕栽培に使う培養液は水+肥料で作られているので、水換えのたびに肥料を投入する必要があります。一方、活力液は栄養補助の目的で使われるもので、毎回投入する必要はありません。
本検証で、筆者は毎日水換えのタイミングで米のとぎ汁を与えていました。この間違った使い方が根にダメージを与えていた可能性もあります。



米のとぎ汁を水耕栽培に使う場合は、週1回くらいで投入してみてください
「米のとぎ汁が肥料になるなら、水耕栽培用の肥料は買わなくていいや!」ではありません。米のとぎ汁はあくまで活力液として使用し、水耕栽培の肥料は別で用意しましょう。
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水耕栽培に米のとぎ汁を使うと水だけより生長する!
水耕栽培で米のとぎ汁を与えてみた結果、水だけで育てるよりも大きく生長しました。わずかな差ですが、本来捨てるもので野菜の生育をサポートできるのは、お得感があっていいですよね。
ただし、米のとぎ汁肥料には「カビやすい」「根がダメージを負う」といったデメリットがあります。手軽に試せる一方でリスクもあるので、安定した栽培を目指すなら水耕栽培用の肥料を使う方が安心でしょう。
米のとぎ汁は、あくまで補助的なものです。使う場合は、量や頻度に注意して、適切に管理するようにしてくださいね。
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※家庭菜園は、人によってやり方が異なります。当サイトの内容は筆者の知識・経験に基づいたものであり、他の人のやり方や考え方が間違っていると指摘するものではありません。
※本検証は個人が行ったものであり、やり方や環境によっては結果が異なる可能性があります。





